新型コロナウイルスの影響で収入が減り、住宅ローンなどの借金返済に苦しむ人が増えている。昨年12月、こうした借金の減額や免除を可能にする個人向けの「コロナ版ローン減免制度」が始まった。制度に詳しい弁護士は「自己破産せずに借金を減らせる可能性もある。まずは相談を」と呼び掛ける。 (砂本紅年)
「コロナ禍の先が見えず不安だ」−。昨年十二月初め、東京の三弁護士会が三日間実施した電話相談会。飲食業やタクシー運転手、小売業などを中心に延べ二百十八人から住宅ローンや事業者ローンの返済に関する相談が殺到した。
夫婦で雑貨を製作、販売する六十代男性はコロナの影響で売り上げが前年の三割程度に激減した。昨年春に銀行から事業資金として三百万円の融資を受けたが、数年前の消費者金融からの借金数十万円もまだ残っており、返済のめどが立たなくなったという。男性は弁護士の説明を受け、減免制度の利用を申し込んだ。
この制度は、東日本大震災後に整備された支援指針「自然災害債務整理ガイドライン」の特則として付け加えられた。コロナ禍で収入や売り上げが減り、資産より負債が多く、将来的にも返済の見通しが立たない人が対象。法的な拘束力はないが、国は金融機関に税制上の優遇を与えるなどして、申請があれば尊重するよう求める。
債務整理の種類としては、借りている側が、金融機関など貸した側と話し合って解決策をまとめる「任意整理」の一種。自己破産や個人再生など裁判所が関与する法的手続きと異なり、借金の...
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